果物の摂取目安は1日200グラム。多くの方が達成できていない量です。
ちなみに野菜の摂取目標量は1日350グラム。こちらも多くの方が達成できていない状況です。
しかし、350グラムと言わずどんどん食べよう!と勧められる野菜と違って、果物は1日200グラムを目安に、足りない分はもちろん補充したいけれど食べすぎにも注意しましょうなんて言われてしまいます。
野菜と果物、そんなに大きく違わないようにも思えるのに、この違いはなんなのでしょうか?
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果物のエネルギーや糖について、もう少し掘り下げていくと理由が見えてきます。
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果物に含まれる成分
果物の摂取目安が1日200グラム。そこから摂取が期待できる栄養素は、ビタミンCをはじめとするビタミン類と水溶性食物繊維。
食物繊維には水溶性と不溶性がありますが、どちらもしっかり摂りたいとは言いつつ、体質によっては「不溶性食物繊維を多く摂るとおなかが張ってしまう」という場合もあります。
不溶性食物繊維を多く含み、供給源として優れている食品群は主に野菜類やいも類、きのこ類、豆類になります。
不溶性食物繊維でおながが張ってしまうような方でも、水溶性食物繊維では便通が整えられることもあり、水溶性食物繊維を含む果物をオススメしてみると「果物を食べる習慣が根付いた」とおっしゃる方も。
果物のおいしさと言ったら酸味も特徴の一つで、クエン酸・リンゴ酸・酒石酸といった有機酸も含まれています。
酸味やうま味に関係しているだけでなく、疲労回復などにも効果が期待できるのです。
そのほか、種類によってはさまざまなフィトケミカルと呼ばれる機能性成分を含んでいます。
なんせ果物はいったん根付いてしまったらその場から移動することができませんから、紫外線なども浴び放題。
そのため自分の身を守るためにフィトケミカルを作り出し、対抗しているのです。
そのようにして作り出されたフィトケミカルは、果物を食べる私たちにとってもうれしい働きをしてくれるのです。
果物が甘い理由
野菜と果物を分類するのは、実はちょっと難しい作業です。
なぜなら、「分類の仕方」「使い方」などによって野菜に分類されたり、果物に分類されたりするものが出てくるから。
たとえばイチゴ。「イチゴは野菜ですか?果物ですか?」と何人かいるところで聞いただけでも、たいていどちらにも手が挙がります。
野菜と果物を分けるときに、「実がなって1年で枯れてしまうもの=野菜」「同じ木に何度も実がなるもの=果物」という分け方をする場合があります。
イチゴは1年で枯れますから、この分け方では野菜ということになるわけです。
一方で「イチゴはたいていデザートのように食べる。料理にはあまり使わない」という方も多いでしょう。
食べられ方としては果物なので、イチゴを果物と分類する考え方も決して誤りではありません。
さて、このように分けていく考え方にもう一つ、「完熟している実を食べるもの=果物」「未熟な状態で収穫され食べられるもの=野菜」という分け方もあります。
野菜は植物としては未熟で、これから種を作って子孫を残そうとしている前段階で、人間が勝手に収穫して食べてしまっているのです。
わかりやすい例としてキュウリがあります。キュウリは中国語で「黄瓜」と書きます。
私たちが食べているキュウリは緑色ですが、それを収穫せずにそのまま育てていくとやがて黄色くなっていきます。
キュウリにとっては、これが完熟の状態なのです。ですから「黄瓜」と呼ばれているわけですね。
一方果物は完熟して色も鮮やか、甘い香りを放ちます。なぜでしょうか。
それは果物が熟れておいしくなった自分を鳥にアピールしているからです。甘くておいしい自分を鳥に食べてもらって、種を遠くまで運んでもらう必要があります。
こうして果物は子孫を絶やすことなく現代まで残存してきました。色鮮やかな「色素」もフィトケミカルの一つ。
そしておいしく甘く熟れているので、デザートのように楽しまれています。
また果物には、果糖、ブドウ糖、ショ糖といった糖が含まれています。
ところで「甘い」これらの糖。すべて同じ甘さを感じさせてくれるのでしょうか。
実はそれぞれ甘みの強さは異なります。
一番甘いのは果糖、ついでショ糖。ブドウ糖はこのなかで一番甘さが弱いのです。
さらに果糖には「冷やすと甘みを感じやすくなる」という性質があります。
食後に冷やした果物を召し上がるとスイーツにも劣らない満足感を与えてくれるのは、甘さの強い果糖を、さらに甘さを感じやすい状態で食べていたからなのです。