コレステロールと中性脂肪を減らす基礎知識

中性脂肪とは?基準値は?中性脂肪の基礎知識

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健康診断の結果でTG(トリグリセリド)に異変があったとしたら、それは血液中の中性脂肪が基準値から外れてしまっているということです。皆さん脂肪というと体脂肪率を気になさる方は多いのですが、血中脂質の状況まであまり配慮なさらないことも多いのではないでしょうか。身体の中から健康になるために血中脂質、今回は特に中性脂肪について見ていきたいと思います。

 【脂質について整理しましょう】

私たちが日頃口にしている「脂質」は、化学構造で分けると次のように分類することができます。

(1)単純脂質

脂肪酸とアルコールから成り立つ、単純な構造。エネルギー源として働きます。中性脂肪はここに属します。

(2)複合脂質

単純脂質に糖やリン酸などが結合したもの。体組織の構成成分としての役割を果たすため、エネルギーにはなりません。

(3)誘導脂質

単純脂質や複合脂質を加水分解して生じたもの。細胞膜の構成成分などの形で、体内に分布しています。脂肪酸やコレステロールといったものが属します。

脂質は1グラムあたり9キロカロリーを供給する栄養素です。「油は太る」と漠然と思われがちですが、構造によって分類してみると働きが違うことがおわかりいただけたでしょうか。

 

【中性脂肪とは?コレステロールとの関係は?】

中性脂肪は「単純脂質」、コレステロールは「誘導脂質」に属し、体内での働きが違います。

エネルギー源となる中性脂肪は、血液検査の結果で数値が高い状態が続けばエネルギーとして使いきれていないということになりますから、皮下脂肪や内臓脂肪として蓄えられます。つまり肥満を招き、さらに多くの生活習慣病のリスクを高めます。

同時に中性脂肪はコレステロールの材料ともなります。ですから血液中の中性脂肪が増えるとコレステロールも増えます。ただしコレステロールには善玉とされるHDLコレステロールと、悪玉とされるLDLコレステロールがあります。血液中の中性脂肪が高く、内臓脂肪が蓄積しているような状況で増えるのはLDLコレステロールです。中性脂肪、LDLコレステロールの過剰は、ともに動脈硬化を促進しますので、避けたい事態です。

 

【中性脂肪の基準値・適正値は?】

血液検査で中性脂肪が高い場合に疑われるのは、脂質異常症・脂肪肝・甲状腺機能低下症などです。

脂質異常症の診断基準では、空腹時の採血で1デシリットルあたり150ミリグラム以上の中性脂肪だと、「高トリグリセライド血症」となります。(日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症治療ガイド2013年版」より)

血液検査の場合は下限値が記載されていることも多いと思います。おおむね1デシリットルあたり30ミリグラム以上なくては、値が低すぎるとして再検査となります。エネルギー源として、あるいは複合脂質や誘導脂質の材料として大切な役割を持っているものですので、低すぎることもよくありません。低値の場合は、栄養失調や甲状腺機能亢進症、肝臓病、吸収不良症候群などが疑われます。

 

【中性脂肪が高くなりやすい要因】

中性脂肪の場合、血液検査の結果が食事や飲酒の影響を受けやすいので、場合によっては1デシリットルあたり1000ミリグラムなどという、けた外れの結果を受け取ることもあるかもしれません。しかしこれは決して笑って流せない結果です。200、300ミリグラムというラインを超えてくれば、医療機関からは「要精密検査」と言われるはずです。たんなる「前の日ちょっと脂物を食べたから」などというレベルではないということです。1デシリットルあたり300ミリグラム以上では、冠動脈疾患の相対危険度が4倍になると言われています。

食品に含まれている脂質の大部分は中性脂肪です。ですから脂質の摂り過ぎは中性脂肪過多になります。でも中性脂肪が増えるのは、それだけではありません。エネルギー源となる栄養素は脂質以外にもあります。炭水化物とたんぱく質です。

炭水化物の摂り過ぎで使い切れなかった場合、脂質も使われずに余ってしまいますし、余った分の炭水化物は中性脂肪として身体に蓄積します。余った分が中性脂肪として蓄積されてしまうのは、たんぱく質も同じです。ですからエネルギーの摂り過ぎは、エネルギー源となる栄養素が何であるかに限らず中性脂肪を増やしてしまうのです。

日頃の生活を振り返っていただいて、お酒の飲み過ぎ、甘い物が好き、運動不足といったことに思い当たる方は、中性脂肪が高くなりやすい状況にあります。

 

【何歳くらいから気をつけた方がいいの?】

加齢も中性脂肪を挙げやすい一因です。歳を重ねるうちに、代謝が低下し、内臓脂肪の分解能力も衰えてきます。ですから同じような食生活を送っていても分解能力が活発な20代では問題とならなかったのに、30代以降で血液検査にひっかかるなんてことも。基礎代謝が落ち始める20代からしっかり意識することが大切です。

国民健康・栄養調査(平成22年)の結果では、中性脂肪を下げる薬を服用している方は50代以降でぐっと増えています。血液検査で異常値が出ても、まずは生活改善などを行いますから、ただちに薬を服用するようなことにはなりません。薬を処方されるということは、かなり状況が進んだ状態と解釈できます。

性別・年代別に見てみると、男性は30代までは0.0%であるのに対し、40代が3.3%、50代は5.5%、60代は6.0%と加齢とともに確実に上がっていくのがわかります。一方女性は60代くらいから増え始めます。少しずれるのは、おそらく閉経によって女性ホルモンが減少する影響を受けているものと思われます。

 

【まとめ】

脂質の摂取量は意外と気をつけていても、炭水化物やたんぱく質までとなるとなかなか気をつけて食事をしていくのは大変です。そういった意味では、血液検査で中性脂肪について指摘を受ける可能性は、多くの方のあるということです。

何か特定の栄養素に偏りことなくバランスのよい食事をすること、あくまでも食べ過ぎないこと、そして時には適度な運動を。当たり前のことのようですが、これらが最大の予防策であると言えるでしょう。

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