各スポーツにおけるカロリー消費量を調べると、水泳の数値はかなり高くなっています。そのため、カロリー消費=痩せるという考えでダイエット目的で水泳を始める方がいますが、早急にやせたり、細いウエストや細い足、また体重減少がすぐに得られるとは言えません。
まず、肥満傾向の人は厚い皮下脂肪が断熱材の役目を果たしてしまい、体温が奪われにくいため、エネルギーの消費効率が落ちます。また、脂肪は浮力が大きいためその分運動効率も落ちてしまいます。
カロリー消費につながる有酸素運動は、ゆっくりでもある程度休まず続けることが必要です。 25メートルプールなら続けて何往復かした方が効果が上がるのですが、片道ごとに完全に息が整うまで休んでしまっては効果が半減してしまいます。(逆に片道ごとにぜいぜいハーハー息が切れる泳ぎは、無酸素運動になってしまいます)
次に体型についてですが、水泳の選手はやせているでしょうか?バランスの取れた体つきではあっても、細身という印象は受けません。水泳は全身運動で、かつ空気中より抵抗の大きい水中での運動となるため、筋肉がついてむしろガッチリした体型になります。運動を継続することにより徐々に脂肪が筋肉に変わってくる訳ですが、筋肉は脂肪よりも重いので、単純に体重も減るとは限りません。
しかし水泳は、全身の脂肪をバランスよく燃焼させることができることは確かです。さらに、心肺機能の向上や代謝の活性化には大変効果があります。それは、筋肉の量が増えることによって基礎代謝が増加し、運動をしていない時でもエネルギー消費の量が増えるからです。これらのことは結果的に減量にもつながっていきます。
また水中の場合、腰や足などへの負担は陸上よりも軽くなります。故障の危険が少ないため、長く続けることも可能です。
つまり水泳は、細い・やせる体作りというよりも、脂肪を燃焼させやすい体質を作り、体を健康的に保つことに優れているのです。そして、結果として脂肪が減少し、引き締まった体になっていくのです。
(笑)適度な運動は食欲を推進します。ご飯がおいしくなって食べ過ぎては元の木阿弥ですのでご注意を!
水泳の効用 基礎代謝
1、体のさまざまな箇所を使う全身運動です。
水に浮いた状態で動くには、バランスを保ちながら体の各部を使う必要があります。腕、脚だけでなく、進むためには手や足の先まで使いますし、息継ぎのためには首も使います。そのため、全身のさまざまなところを発達させていくことができます。
2、エネルギーの代謝を促進します。
水の抵抗を受けるため、陸上の運動に比べて動きにくい運動となります。そのため筋肉が発達しやすくなります。筋肉の発達は、基礎代謝を向上させます。また、水中では体熱が多く奪われるため、エネルギー代謝も活発になります。それらのことで生命を維持するための活動が高まり、生理的な面での抵抗力がつきます。
back.ikioi.jpg
3、呼吸・循環機能を高めることになります。
水泳は、呼吸の制限を受けることから、心臓、肺などの呼吸・循環器官の働きを盛んにし、発達を促進します。
4、体の各部位にかかる負担の少ない運動です。
水による浮力を受けるため、その分体重が軽くなり、腰や脚などへの負担が軽くなります。さらに水平位(水面に平行)の運動が中心となるために、脊椎や関節などの負担軽減にもなります。そのため、身体的にハンディキャップのある人でも、比較的自由に身体を動かすことができます。
5、精神衛生上の効果もあります。
程よい水温の水(湯)に入っているとき、どのような気分になるでしょうか?柔らかな水の感触や体に感じる浮力などに、陸上では味わえない安らぎのようなものを感じることがあると思います。これは、母親の胎内で羊水に包まれていたときの感覚や、生命が誕生した原始の海の記憶が、遺伝子のどこかに記憶されているからかもしれません。水に入る際の安全が確保されていれば、人は水中に安らぎを覚え、心が癒されるという面もあるといえるでしょう。