クロールの息継ぎ ブレスについて
息継ぎ(ブレス)の動きが全く出来ない(わからない)人は、一度、インストラクターの方等に教わってみてください。
いきなりミもフタもないことを言ってしまって申し訳ないのですが、僕のスポーツの経験上「まず習った方が早い」という技術の部分があり、息継ぎに関してはそれに該当すると思うのです。その際、その教わっている時間だけで上手くなろうとするのではなく(もちろんそれも大切なのですが)、息継ぎの重要なポイントを2~3とそのポイントを習得するための練習法というのを覚えるようにしてみてください。そうすれば、レッスンが終わった後も自分なりに練習することが出来、泳ぎの回数を重ねれば動きがこなれてきて自然と身についてきます。
そのうえで、僕がポイントとなると思う点ですが、
1、顔(頭)を上げようとしない。
2、形をきちんと作ろうとしすぎない(流れを止めない)。
3、大きく息を吸い込もうとしない。
だと思っています。
1、顔(頭)を上げようとしない。
顔を水面から持ち上げるように出して息を吸おうとしたり、持ち上げなくても天井の方まで顔を回転させて息継ぎしようとしている方を見かけます。これですと、余分な力が入って逆に沈みそうになってしまったり、動きが大きくて平静に呼吸が出来なかったりで、あまり上手く息継ぎが出来ないことが多々あります。
口は目やおでこに近いのではなく、あごに近いですよね。ですからあごが水面上に出れば口から息が吸えるということになります。顔の全面を水面上に出そうとする必要は無いのです。
k.ikitugi.jpg水面上に出す顔の部分の目安ですが、息継ぎ時に水中側にある顔(右に首を回して息継ぎをする人は顔の左側ということになります)の目の外端と口の外端(左端と左端)を結んだライン上にノートの背表紙を当ててみてください。そして息継ぎをするように首をひねってみてください。その状態でノートより上にある部分は水面上で、下になる部分は水中というイメージになります。ただ、片方の目の半分ぐらいが水中にあっても問題はありません。上級者ほど水面上に出ている部分は少なくなりますから。
2、腕の形をきちんと作ろうとしすぎない(流れを止めない)
息継ぎのとき、顔を出す側の腕は自然にややいつもより高く上がりますよね。これを自ら作り出そうと腕を高々と上げてしまったり、キッチリ腕の形を作ろうとすると力が入ってしまい、かえって息継ぎそのものの動作が難しくなります。あごが上がればいいだけですのであまりカチッとした形を作ろうとせず、息継ぎをしないときの腕の動かし方とほぼ同じような意識で大丈夫だと思います。
息継ぎをする時は、顔を出す側の手の先が水をかいて自分の顔の下(目線に入ってくる)に来たらその手の指先あたりに視線(顔の向き)を合わせて行ってみて下さい。すると、掻き終わって手が水面上に出てくるときに自然と顔が後ろを向いてあごが水面上に上がり気味になりませんか?そのときに息を吸えば無理せず息継ぎが出来ます。
ただ、そのまま指先を見続けてしまうと、腕が前に来るのに合わせて頭もぐるりと回してしまうことになるので、これは余分&ツライ動きになります。あごが上がった時点で息を吸い、手先が下がってきて入水に向っていくのに合わせて自然に顔を水面に戻せばスムーズにいきます。
3、大きく息を吸い込もうとしない
息継ぎのときに、息をめいっぱい大きく吸おうとしている人も見かけます。でもそうすると肺に余計な負担がかかるからなのでしょうか、かえって早く息苦しくなることが多いです。息継ぎ前に苦しくなるのが怖ければ、3かき後に1回ではなく1掻き後に1回の息継ぎでいいと思います。息継ぎがある程度上手く出来るようになってくれば呼吸にも余裕が出て、自然と息継ぎの回数を減らしたくなってきます。
もうひとつ大切なのが、水中で息をおおよそ(8割ぐらい)吐いておくということです。そうすれば息継ぎのときにラクに空気を吸い込むことが出来ます。呼吸は吸うと吐くを同時に出来ません。また、新しい空気を吸い込むには、息をある程度吐いて肺の中に空きスペースがないと空気の入る場所がありませんよね。おおよそ吐いておけば、息を吸うときに軽く吸おうとするだけで充分な空気量が入ってきます。
息は鼻から少しずつ吐いていくのが基本ですが、口からでも吐けるようになっていた方がいいと僕は思います。息継ぎのときに水も口に入ってくることがありますので、口から上手く息を吐ければ水も一緒に出せるからです。
おおよそを8割ぐらいとしたのは、それ以上吐いてしまうと、苦しさが目前に迫っていると思い余裕がなくなってしまうからということと、肺の浮き袋効果が少なくなって体が沈み気味になって息継ぎ時に顔を水面上に出しづらくなってしまうからです。そういった意味では、初心者の方は6割ぐらいの息の吐き出しでも良いと思います。
クロールの息継ぎ ローリングについて
息継ぎで顔を水面上に出す際、顔(頭)を持ち上げるようにしないということはお話しました。ではどういう動作をすればよいのでしょうか。
答えは体全体の回転です。首を回して顔の半分ぐらいを水面上に出せばよいのですが、じつは首の回転だけではちょっと体は窮屈です。窮屈な状態というのはどこかに余計な力が入ってしまいます。
これを避けるためには体全体を少し回転させてやるのです。これはローリングと呼ばれている動作です。ただ、体全体を大きくまわそうという意識は必要ありません。具体的には、息継ぎで首をひねるのと同時に、胸の面を顔を上げる方向に少し向けてあげるのです。
注意して欲しいのは、この動きが大きくなると顔が天井の方まで向いてしまい泳ぎにロスが出ます。ですので、あくまで補助的な動きと考えてください。息継ぎ時に、上手く顔を水面上に出せないとき、もしくは首に窮屈さを感じるときに気にしてみる程度でよいと思います。