タニタ食堂ほか健康的な外食と中食

スマートミールとは?認証制度の設立目的と認証条件&認証レシピとお店など

健康の維持には日頃の食生活に気を配ることが大切であることは、多くの方が知っていることです。しかし実際にはわかっていてもいろいろな事情があって、毎回の食事では実行できないのが現実です。中でも多いのが、自炊がなかなかできず、外食や中食に偏りがちな食生活で、なかなか健康的な食事の実現が難しいというお悩みではないでしょうか。

生活習慣病がますます増えていく現状を踏まえ、かねてから厚生労働省では『日本人の長寿をささえる「健康な食事」の普及に関する通知』なるものを出しており、その中で「生活習慣病予防その他の健康増進を目的として提供する食事の目安」を提示していました。

このたび、これを具体化する動きが見られました。それが「スマートミール」です。2018年4月から認証制度の応募がスタートしました。どのような取り組みなのか、ご紹介したいと思います。

スマートミールとは?

「外食や中食でも健康に寄与する食事の選択がしやすい環境を整えよう」というのが、今回の取り組み。具体的には、「健康な食事・食環境」を審査・認証する制度が立ち上がりました。

この制度において「認証基準に適合した食事」のことを「スマートミール(Smart Meal)」と言います。

対象

継続的かつ健康的な環境で提供している外食・中食・給食部門の店舗など。
ちなみに健康的な環境とは、「栄養情報の提供や受動喫煙防止などに取り組んでいる環境」が該当します。ただ単に適切な食事を提供しているかどうかを審査するだけでなく、適切な食事を選択するための情報提供整備が行われているかをあわせて審査・認証しているということです。
たしかに健康増進法には、受動喫煙に関する事項も、盛り込まれていますよね。そして生活習慣病と喫煙の関係は、負の関連が多く示されています。生活習慣病の防止について、食事あるいは栄養素というピンポイントで扱うのではなく、広い視野で総合的な取り組みを行っていこうとしていることがわかりますね。

認証団体

『「健康な食事・食環境」コンソーシアム』によって、認証されます。
この構成は
・特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
・日本給食経営管理学会
・特定非営利活動法人 日本高血圧学会
・一般社団法人 日本糖尿病学会
・一般社団法人 日本肥満学会
・一般社団法人 日本公衆衛生学会
・特定非営利活動法人 健康経営研究会
の7学術団体から成っています。

 

スマートミールの認証基準

おおまかなルール

<外食・給食部門>

必須項目7項目とオプション項目17項目の計24項目のうち、
必須項目を満たす場合
→ ☆のつく店舗などとして認証
必須項目に加えてオプション項目が5項目以上つく場合
→ ☆☆のつく店舗などとして認証
必須項目に加えてオプション項目が10項目以上つく場合
→ ☆☆☆のつく店舗などとして認証

<中食部門>

必須項目6項目とオプション項目16項目の計22項目のうち、
必須項目を満たす場合
→ ☆のつく店舗などとして認証
必須項目に加えてオプション項目が5項目以上つく場合
→ ☆☆のつく店舗などとして認証
必須項目に加えてオプション項目が10項目以上つく場合
→ ☆☆☆のつく店舗などとして認証

必須項目

カテゴリー名 項目名 外食給食 中食部門
スマートミールの基準 スマートミールを提供している
スマートミールの情報を提供している
スマートミールのプロモーション スマートミールに「おすすめ」と表示するなど、選択時にプロモーションされていることがわかる
スマートミールの選択に必要な栄養情報などを、店内、カタログ、注文サイトなどメニュー選択時にわかるよう提供している
「健康的な食事・食環境」の運営体制 スマートミールを説明できる人が店内にいる
中食の場合は、問い合わせ窓口がある
管理栄養士・栄養士がスマートミールの作成・確認に関与している
店内禁煙である

(注意)
「スマートミールの選択に必要な栄養情報」とは栄養情報の具体的な内容で、顧客が自分にあったメニューを選択できるよう、情報提供をすること。このとき、食事以外に身体を動かす、適正体重を維持するなどの情報提供もあわせて行うように促しています。

オプション項目

カテゴリー名 項目名 外食部門 給食部門 中食部門
スマートミールの展開 スマートミールの主食が週3日以上、精製度の低い穀類を含む
スマートミールの主食の選択肢として、精製度の低い穀類を提供していることがメニュー選択時にわかる
スマートミールの主食量を、選択または調整できることがメニュー選択時にわかる
スマートミールの主菜の主材料として、週3日以上、魚を提供している
スマートミールの主菜の主材料として、週3日以上、大豆・大豆製品を提供している
「健康な食事・食環境」の推進 スマートミールに、栄養成分表示(エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量)を示している
スマートミールの栄養成分表示に、飽和脂肪酸の量を示している
スマートミールが1日2種以上ある
スマートミールを選択するためのインセンティブがある
10 メニューに漬物や汁物をつけないことができ、メニュー選択時にわかるように表示している
11 ソースやマヨネーズなどの調味料を別添えで提供している
12 野菜 70g 以上のメニューを提供している(サラダバーを含む)
13 牛乳・乳製品を提供している
14 果物を提供している(シロップづけを除く)
15 減塩の調味料を提供している
16 卓上に調味料を置いていない
17 食環境改善のための会議等を定期的に開催している
18 従業員に対し、事業所(会社)から食費の補助がある

(注意)
・「精製度の低い穀類」とは、押し麦、玄米、五穀米などを指し、見た目でこれらの穀類が入っていることがわかれば該当します。
・「インセンティブ」とは、他のメニューより安い、または、ポイントサービスがあるなどのお得感を指しています。
・「食環境改善のための会議」とは、スマートミールの開発及び普及啓発するために、関係者が集まって話し合う会議のことを指しています。

 

スマートミールの料理・食品構成

スマートミールの基準は、厚生労働省の「生活習慣病予防その他の健康増進を目的として提供する食事の目安」や「日本人の食事摂取基準2015年版」を基本として、さらに給食会社4社の実際のヘルシーメニューの献立分析を行って次のように決定されました。

(1)エネルギー量は、1食当たり450~650kcal未満と650~850kcalの2段階とする。
1食当たり450~650kcal未満の食事を、通称:「ちゃんと」と表現。
1食当たり650~850kcalの食事を、通称:「しっかり」と表現。

(2)料理の組み合わせの目安は、次の2パターンを基本とする。
1.「主食+主菜+副菜」パターン
2.「主食+副食(主菜,副菜)」パターン

(3)PFCバランスが、食事摂取基準 2015年版に示された、18歳以上のエネルギー産生栄養素バランス(1日の摂取エネルギーに対するPFC比率:たんぱく質13~20%エネルギー、脂質20~30%エネルギー、炭水化物50~65%エネルギー)の範囲に入ることとする。

(4)食塩相当量は、「ちゃんと」で3.0g未満、「しっかり」で3.5g未満とする。

(5)牛乳・乳製品、果物は基準を設定しないが、適宜取り入れることが望ましい。

(6)特定の保健の用途に資することを目的とした食品や素材を使用しないこと。

一食当たりの提供エネルギー量(2段階)による分類

1.「主食+主菜+副菜」パターン

区分 食品など 450~650kcal未満

「ちゃんと」の場合

650~850kcal

「しっかり」の場合

主食 飯、めん類、パン (参考)飯の場合

150~180g

(参考)飯の場合

170~220g

主菜 魚、肉、卵、

大豆製品

(参考)

60~120g

(参考)

90~150g

副菜1

(つけあわせなど)

野菜、きのこ、

いも、海藻

140g以上
副菜2

(小鉢・汁)

食塩 食塩相当量 3.0g未満 3.5g未満

 

2.「主食+副食(主菜,副菜)」パターン

区分 食品など 450~650kcal未満

「ちゃんと」の場合

650~850kcal

「しっかり」の場合

主食 飯、めん類、パン (参考)飯の場合

150~180g

(参考)飯の場合

170~220g

副菜

(主菜、副菜、(汁))

魚、肉、卵、

大豆製品

(参考)

70~130g

(参考)

100~160g

野菜、きのこ、

いも、海藻

140g以上
食塩 食塩相当量 3.0g未満 3.5g未満

 

スマートミール 今後の展開

スケジュール

応募時期 認証時期
第1回 2018年4月2日~5月31日 2018年9月
第2回(予定) 2018年10月中旬~11月末日 2019年3月

スマートミールは始まったばかりの取り組みです。応募を受け付けていますので、2018年9月頃からは、スマートミールの認証を受けたメニューを目にする機会が増えそうですね。

有効期限

認証を受けてから2年間

先行実施店

すでに先行実施店舗がいくつか、あります。
<外食部門>東京駅前の飲食店3店舗
<中食部門>弁当2社
<給食部門>社員食堂2社

たとえば外食部門のうちの1店舗では、「鰆(さわら)の西京焼き定食」が提供されています。西京漬けにする工程に工夫をこらし、うま味を引き出しながら塩分低減に努めており、塩分相当量は3.4gと、「しっかり」の場合の基準を満たしています。

 

スマートミール まとめ

スマートミールの本格始動は2018年9月頃となりますが、スマートミールの考え方を多くの方が理解すればメニュー提供のない外食や中食店舗においても、きちんとメニューを選択できるようになっていくのではないでしょうか。

食事はバランスの良いことだけでなく、おいしいことや楽しいことも大切な要素の一つです。食べたいものをずっと食べられる健康を保つために、スマートミール制度を上手に活用できるようになりたいですね。

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